ホームステイでは他の留学生と一緒に暮らす「シェアメイト」というスタイルもあるんです。
聞いたことはあるけど実際にどんな生活なの?
様々な国籍や文化の人との交流があって楽しいと思うけど、実際にどんな感じか分からないよね。そこで、体験したシェアメイトとの生活をご紹介します。シェアメイトステイを考えている人は必見!
新しいシェアメイトがやってきた①【リビア人】
ホームステイを始めてから約1カ月ほど経ったある日、新しいシェアメイト(ルームメイト)が来るとホストマザーに伝えられました。
これまでホストマザーと二人だったので、どこの国の人が来るのかとても興味深く、首を長くして待っていました。
数日後の土曜、リビア国出身、30代の男性が到着。
彼の荷物は長期滞在するには少し小さめなスーツケースと小さなリュックサックをだけ。
身長は180cmほど、足が長くスタイルが良く、鼻の下にひげを蓄え笑顔が素敵な落ち着いた人。
彼の部屋は私の隣で、今日から彼を「アブド」と呼ぶことにしました。
彼はずっと英語の勉強をしてきており、母国で英語の教師になるために今回留学をしたとのこと。
なので英語は私より堪能で、会話相手としては最高でした。
でも英語なまりが強く聞き取れない部分もあり、例えば「Brother」。
日本語読みだと「ブラザー」ですが、彼が発音すると「ブラザル」となっちゃうんです。
Rのつく単語は全て「巻き舌」で「ル」と発音するよう。
「Teacher」は「ティーチャルー」
「University」は「ユニバルシティー」
しかし、ここで改めて感じた事は、
アブドとは毎朝一緒に学校に通い、昼食も一緒に取ることもありました。
休日は一緒に散歩したりダウンタウンに出かけたり、いつしか歳の離れた兄弟のようで、学校で会うと家族と会ったかのようにホッと安心感を感じていました。
私が地域の野球チームに入り、オールスターゲームに選出された試合にも駆けつけてくれスタンドから手を振って応援してくれた優しいアブド。
新しいシェアメイトがやってきた②【韓国人】
それから1か月ほど経ったある日、新しいシェアメイトがやってきました。
その方は20代半ば~後半の韓国人女性。英語は私と同じようなレベルで日本語は多少理解できるよう。
とても勉強熱心な人で一緒にいることが少なく、とりわけ強い思い出はないが一番の思い出は「キムチ」。
彼女が家にやってきた時に「キムチ」を持参していました。
しかも韓国産の香辛料なども持参し、どこか懐かしいあの匂いにヨダレがタレそうになったのを覚えています。
でも、イギリス人のホストマザーにとってはキムチは強烈な臭いだったらしく、キムチの保管庫は地下の専用冷蔵庫に…
数日経ったある日の昼、彼女から「キムチ食べる?」と聞かれ「Yes !」と即答し、元々家にあった炊飯器でお米を炊いてキムチをごちそうになったのですが、久しぶりに食べた「白米」にあうキムチは世界一美味しく、
あっという間に茶碗3杯ほどを平らげてしまいました。
今まで日本では食べたことのない位、最高に美味しいキムチに「これが本場かぁ…」とカナダで本場のキムチと出会ったのです。
そした、韓国語と日本語の文法が似ていること「カバン」「トショカン」「クツ」などの単語はほとんど同じ発音ということを教えてもらい、やはりお隣さんなんだなとより強い親近感を覚えました。
ここでの彼女のホームステイは短く、確か2カ月もしないうちに去って行ってしまったのです。
新しいシェアメイトがやってきた③【エクアドル人】
韓国人女性と入れ替わる感じでエクアドル人の男性がやってきました。
とても真面目なおじいさんという感じで、荷物は小さなスーツケース一つだけ。
この方は確か60歳を超えており母国の学校で英語を教えていたよう。
今はより偉い地位のため生徒には直接教えてはいないようですが海外生活の様子を母国に伝えるのが目的とのこと。
彼はとても勉強熱心で、いつも老眼鏡をかけて分厚い英語の本を読んでいました。
とにかく海外の生活を母国の若い人たちに伝えたいと、勉強しつつも街に出かけて毎日の「新発見」を楽しんでいるようでした。
彼は「全て入れ歯」で、なぜか食事中は外して食べるため、食べる前に全ての食事を5分ほど混ぜ潰すのがルーティン。
これは見ていてあまり気持ちの良いものではなかったですが、これも「留学」と思い毎晩一緒にテーブルを囲み食事をしていました。
彼との時間も確か1カ月ちょっとだったので大きな思い出はないのですが、一つだけ心が温まるエピソードがあります。
それは彼が帰国をする前夜の食事後のこと。
ホストマザーからエクアドルは貧しい国と聞かされていたのですが、彼はホストマザーにカーティガンのような羽織りものをプレゼントしたのです。
商品には値札がついており、10ドル以下のセール品でした。
ただ、家にいた全員がとても「温かい気持ち」になり涙を流したのを覚えています。
お世辞にも良い柄とは言いにくく、くしゃくしゃなビニール袋に入っていましたが、彼の心の温かさと真っ直ぐな気持ちを感じた瞬間でした。
文化の違いを肌で感じた
日本にいれば、他の国の人と住む経験はなかなか難しいですが、カナダという移民の多い国でリビア人、韓国人、エクアドル人と一緒に住んで文化の違いを経験できたことは自分の人生で大きな出来事でした。
リビア人のアブドは「ハラール」をとても大切にしていました。
近年はメジャーな単語で日本でも知っている人も増えていますが当時の私は「ハラール」自体を知りませんでした。
このように日本にいると知らない事が多く「世界」を知り感じることができるのが留学の醍醐味の一つだと思います。
▽▽ハラールについて▽▽
また、決まった時間に決まった方角を向いて祈りを捧げることもは大きな発見でした。
中でも驚いたことがあります。
それはアブドと一緒に夕飯を食べたときに「ケチャップ」を初めて見たらしく、ケチャップの中に何が含まれているのかを「一語一句」辞書で調べていたことです。
私たち日本人にとってケチャップは馴染みある調味料にすぎませんが、彼は口に入れるもの全てを注意深く調べきるまで一切口にしなかったことも私にとって驚きでした。
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新しいシェアメイトがやってきた④【日本人】
エクアドル人が帰国すると間もなく新しいシェアメイトがやってきました。
なんと1~2歳年下の日本人男性。
ホストマザーからは「次のシェアメイトは日本人ですよ」と聞かされていたのですが、実際に一緒に生活をすると難しい点がいくつかあったんです。
ホストマザーからは基本母国語を話すことを禁じられており、もし日本語を話すと「ペナルティー」と言われるのです。
特に罰則はないがいつでも見られている感じがして少し窮屈でした。
お互い「日本語での会話はしない」と決めていたので他の国の人と同じように毎日英語で会話をするのですが、実際に日本人同士が一緒に住むとどうなるのかと言うと、言葉を介さなくてもお互い話したいことや感じていることを読み取るのが、他の国の人よりも簡単なんです。
アイコンタクトや表情でだいたい言いたいことが分かってしまうんです。
例えば、夕飯に「サメのムニエル」が出てきた時がありました。
私は何も思わずぺろりと平らげたが、シェアメイトの日本人は少し苦手な顔をして一口食べとき、ホストマザーの「おいしい?」という問いかけ一瞬表情がくもって私の目を見たのです。
その表情は私に「おいしいけど彼はお腹がいっぱい、と言って欲しい」とい言わんばかりだった。
あとから聞くと「魚は好きだがサメは気持ちが悪く食べたくなかった」そう。
他にもアイコンタクトや表情で意思の疎通ができたことが何度もあったのですが、お互い日本で育ったという背景や文化などがそうさせたのかもしれませんが、とても不思議な感覚だったのを今でも覚えています。
次にこの家を去るのは誰なのでしょう?